”色落ち”


昔、イタリアのストールを作っている人に
「日本では、生地の色が落ちやすいモノは懸念される事がある」
と伝えると
「?」
(イタリア語が全く分からないけど、なんとなく?な顔をしながら...何かを言ったのだけはわかった。)
「ワケが分からない」
って言ってるよ。と通訳さんが教えてくれました。
彼女は....
だって、この綺麗な色のストールが欲しいのでしょ?染めているんですもの、落ちないワケがないでしょ?想像して、この綺麗な色がどう変化するか!この色の変化を楽しむべきよ。あなたの肌も変わるように、髪の色も変わっていくように、楽しんで!
というような事を言っていたそうです。


その時の事をたまに、ここに居ると思い出します。

店主が別注してお願いしたm's braque/エムズブラックというブランドのシャツ。
形はとてもシンプルなシャツなのですが、濃く濃くインディゴ染がされています。

店主のシャツは5回くらい洗ってやっと色落ちが落ちつきました。
どんどん色が落ちていきます。というか、初めはボタンを外すだけで手に色が付きます。

お客様は、それを楽しんでおられるようです。

指に付いた青い染料を見てはニヤリと
「おー染まってるねー」
私は慌てて、手を拭いてもらうのですが、全く気にされていません。

着てこられた方には、
「何度目ですか?」
「4度目です」
私には、何かの暗号かとしか思えない会話ですが、洗った回数だそうです。

「だいぶ、良い色になってきました。」

と満足な顔を見ると私はホッとします。

昔、出会ったイタリア人にこの光景を見せたいです。私は間違っていました。
日本人も色落ちを楽しんでる人は沢山いましたと.....



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